差替文庫

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長女(5歳)と絵本を創った話④

イラストに色を塗ろう

下絵が完成したので、次はフォトショップを利用した仕上げ作業だ。

しかしながら、この絵本創作プロジェクトは妻と次女を驚かせるために、秘密裏に進めるという長女の方針があったため、すぐに続きを始めるわけにはいかなかった。基本的に作業は「休日」かつ「次女さんが昼寝している間」のみという時間的制約があるのだ。

そこで、限られた作業時間を最大化させるべく、私は平日の深夜……仕事が終わった後に、こそこそと下準備を強いられることになった。コピー用紙に鉛筆で描かれた下絵をスキャナーで取り込み、入稿データを意識したサイズに整形、見えやすいように整える……。かくして、長女にとっては長い一週間が過ぎ去り、待ちに待った次なる休日を迎えたのだった。

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線画

まず用意したのは線画だ。フォトショップの使い方は、LINEスタンプを創ったときに、ある程度教えたので、最低限のことは理解している。ペンタブレットの扱いもお手の物だ。

鉛筆画と違い、失敗してもきれいさっぱり消去して、何度だってやり直せるというのは大きな強み。まっすぐ線が引けなくとも、ラインツールがあれば問題ない。

細かな調整などは、さすがに私も手伝いはしたが、下絵をトレースしながらの線画作業は順調に進んだ。

今回の作業を通じて、多角形選択ツールの扱いも習得した長女は、線画が出来上がるとカチカチと選択範囲を選び、次々と着色していった。

そして塗り終わったイラストがこちら。

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着色

ひとつ驚いたのが、何も説明されずとも最前列の木と、奥の木の色を塗り分けていたことだ。長女に意図を訪ねたところ「そのほうが森が広く見えるから」とのこと。

明るい昼間なら近くを濃く、遠くを淡く青系に寄せて描くことで遠近感が生まれるが、暗い夜なら遠くにあるものを濃く描いたほうが奥行きが出るという「空気遠近法」と時間経過のロジックを、なぜ知っているんだろうか……。

関心しつつも、長女は納得がいっていない様子で、もっと暗くしたいと言い出した。

そこで別レイヤーを「乗算」にしたうえで紺色を乗せて、不透明度をいじるという手法を教えてみたところ、こうなった。

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色味調整

だが、まだ納得できない様子で「月を足したい」と言った。

本人いわく「その方が夜っぽくなると思う」とのことで、「星はいっぱい描かないからいい?」と心配げに聞いてきたので、試してご覧と促した。

しばらく三日月の線画が描けずに四苦八苦して「どうやればうまく描けるのかわからない」とうなだれてしまったので、きれいな円形を描くことは大人でも難しく、訓練が必要だということを説明した上で、楕円形選択ツールの存在を教えて彼女が納得の行く「きれいな三日月」を描いてみた。

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完成

かくして最初のイラスト「夜の森を歩くユニコーン」が完成した。

なかなかどうして、それっぽくなっている。

このイラストをスマホに転送し、待受画面に設定して気に入ったことを示してみせると、長女は満足げな表情を見せつつも「お母さんには、見せちゃダメだからね」と念を押すことを忘れなかった。